白髪を増やさない方法とは

白髪を増やさない方法とは

年齢を重ねていくと白髪に悩む人は多いものです。白髪が増えてくると、実年齢より老けて見えてしまい、定期的なカラーリングをしなくてはならず、悩ましい問題です。
鏡を見るたびに増えている白髪にため息がでてくるもの。
年齢のせいで諦めがちな白髪ですが、早めの対策で変わってきます。実は生活習慣が大きく関係しているので見ていきましょう。

白髪になる原因とメカニズム

実は、髪の毛はもともと白く、色がない状態です。毛穴から表面に出るまでの間にメラニン色素によって着色されて伸びていくのです。
このメラニン色素はメラノサイトといいます。メラノサイトや、メラノサイトの大元である色素幹細胞の生成が加齢やストレスなど何らかの原因によって阻害されたり活動能力が低下してしまったりすると色素を作ることができません。
メラノサイトで着色できずに伸びた状態が白髪になります。

白髪の原因とは

白髪が生えてくる原因は色々あります。原因を知り対策を立てていきましょう。

加齢

白髪が現れ始める年齢は人それぞれですが、おおむね35歳前後とされています。
昔から白髪は老化のサインとして捉えられており、自分の老化を感じる人も多いでしょう。
白髪は自然な老化現象ですが、10代でも白髪が多い人もいれば、50~60代でも黒髪を維持している人がいます。
実際のところ、加齢によってなぜメラノサイトの働きが低下してしまうのかよくわかっておらず、個人差が大きいところです。

遺伝

両親や親戚に白髪が多い場合、白髪になりやすい傾向にあります。2016年に白髪のきっかけになる遺伝子が特定されました。
イギリスの大学の研究チームは、あらゆる人種、計6,000人以上の遺伝子を分析した結果、白髪だけではなく、髪の色や形状、ひげ、薄毛など、髪の毛に影響を与える遺伝子を特定したのです。
白髪のきっかけになる遺伝子(IRF4)は、メラニン色素の生成機能に作用することで髪を白くするといわれています。
遺伝子の解明によって、今すぐに白髪をなくすことはできませんが、今後の研究で白髪化を遅らせたり、食い止めたりする治療法の開発につながる可能性があるそうです。

紫外線

髪に色素が入るのは頭皮から紫外線を守るためです。黒髪が紫外線を吸収し、活性酸素の生成を抑制する働きがあり、細胞の損傷を防いでくれます。
しかし、長時間の紫外線への露出や紫外線対策を怠ると、髪へのダメージとなります。
紫外線に含まれるUVAやUVBは、頭皮にダメージを与えることでメラノサイトの機能を低下させると考えられています。
頭皮のダメージによって、メラノサイトが活発に働かず、新しい髪の毛が色素を持たずに白く生えることがあるとされています。

ストレス

ストレスを感じると交感神経が活発になり、毛細血管が収縮した状態になります。それが頭皮の毛細血管まで及ぶと、毛根に酸素や栄養が行き届きにくくなります。
すると、白髪につながるのです。ストレスと白髪の関係は長年注目されており、科学的に解明されつつあります。
アメリカ・ハーバード大学の研究チームが「ストレスと白髪の関係」を2020年に発表しています。強いストレスを受けると白髪が増えることが判明したのです。

栄養不足

健康的な髪を生やすには、多くの栄養素や酸素が必要になるため、栄養バランスの取れた食事が重要です。
過剰な食事制限や偏食は栄養が不足してしまい、白髪になってしまう可能性があります。とくにタンパク質は積極的に摂りたいところです。

タンパク質

タンパク質は髪の主成分であり重要な栄養素です。タンパク質が不足するとチロシンというメラニン色素の原料が不足するため、白髪の原因になります。
チロシンはアミノ酸の一種であり、髪の毛のメラニン色素の合成に重要な役割を果たしています。
このメラニン色素を生成する際には、チロシンと呼ばれるアミノ酸とチロシナーゼと呼ばれる酵素が必要です。
したがって、チロシンは黒髪を作る上で重要な役割を果たしており、チロシンの不足はメラニン色素の合成や供給の減少につながり、結果として白髪が生じる可能性があります。
チロシンはタケノコ、納豆、アーモンド、ピーナッツ、牛乳、肉類などに含まれています。必須アミノ酸の一つであるトリプトファンと一緒に摂取すると効果的です。
摂取量について1日1,000mg以上も摂るような過剰摂取には注意が必要です。通常の食生活では過剰摂取になることはありません。
しかし、サプリメントで摂取する場合、過剰摂取による血圧上昇やシミの生成という副作用が見られる場合がありますので、状況に応じて適切な摂取量を確認することが重要です。

ミネラル

ミネラルは髪に色素を送るために欠かせない栄養素です。
メラノサイトはチロシーゼという酵素を使ってチロシンを黒い色素に変化させます。その際、メラノサイトを活発にするのがミネラルです。
亜鉛や鉄分などは食事から摂るように心がけて、サプリメントは補助的に利用してください。

ビタミン

頭皮の新陳代謝を促すビタミンB、細胞の老化を防ぐビタミンC、血行を良くするビタミンEやビタミンAを積極的に摂るといいでしょう。

睡眠不足

睡眠は体中の細胞が修復と成長を行うための時間でもあります。しっかり睡眠をとることで健康的な頭皮の育成、つまり白髪になりにくい頭皮づくりを助けることになるのです。
睡眠不足が慢性化すると、寝ている間に細胞を修復したり、疲労回復に必要な成長ホルモンの分泌が低下したりすることで、髪だけではなく肌や消化能力など様々な部分の機能に影響します。

スマホ・パソコンの見すぎによる眼精疲労

スマホやパソコンによる眼精疲労が関与している可能性も。眼精疲労は眼の酷使によって眼球付近の筋肉が凝り固まり、毛細血管の血流を滞らせ、疲労物や老廃物が溜まっていきます。
そのことで頭部の筋肉も凝り固まり、血行不良を起こし、頭皮環境の乱れから白髪の原因に。
とくにスマホの長時間利用が日常化している、肩こりや首こり、眼精疲労など自覚症状がある場合、白髪になりやすい生活になっているかもしれません。

喫煙

たばこに含まれるニコチンは血管を収縮させるため、頭皮に大切な血液が届きにくくなります。
血流不足だけではなく、活性酸素が増えて酸素不足になると、白髪の原因になります。白髪が気になるなら禁煙を心がけましょう。

白髪を減らす方法

白髪を減らし予防できる特効薬はいまだありません。白髪を防ぐには原因となるものを取り除く必要があるといえます。
白髪を減らすには以下の様な対策が挙げられます。

運動をする

運動不足によって血流が悪くなるとメラニン色素を作るために必要な栄養が毛根に届きにくくなり、白髪につながります。血流を改善することで白髪対策になるでしょう。
頭皮は毛細血管が張り巡らされており、血流をよくすることで毛細血管の数を増やすことができます。
また、運動によってストレスに対抗するホルモンであるセロトニンが活性化されます。ストレス解消のためにも運動をするようにしましょう。
とくに有酸素運動は、肺から取り込んだ酸素を全身にくまなく巡らせる効果が期待できます。ウォーキングやストレッチ、ジョギング、水泳などの運動を行いましょう。

頭皮マッサージをする

髪は毛細血管から直接栄養をもらっているので、せっかく頭皮に良いものを食べても血流が悪いと栄養が髪まで届きません。
頭皮は筋肉がなく、自分で動かせないので頭皮マッサージがおすすめです。血行を促進して栄養の届きやすい頭皮を作りましょう。
マッサージは耳の上から頭頂部へ円を描くように。耳の上3点を指の腹で押しながらクルクル円を描くように少しずつ頭部へ移動させます。
最後に頭頂部を3秒指圧しますが、これを3セット行います。
コツは爪を立てずに指の腹でマッサージをしましょう。呼吸を意識しながら気持ちいいと感じる強さで指圧するのがおすすめです。

紫外線対策をする

肌に日焼け止めを塗るように、髪にも紫外線対策をしましょう。髪用の紫外線防止スプレーやミルクがありますので、出かける前にサッと使用するようにしてください。
外出するときは帽子をかぶったり、日傘をさしたりする必要があります。UVカット効果の高い帽子や日傘を利用するといいでしょう。
時間帯もお昼時は避けて、できるだけ朝や夕方にするといいかもしれません。
また、紫外線は季節関係なく降り注いでいますので、1年を通して紫外線対策が必要です。

白髪から黒髪に戻せるの?

白髪から黒髪に戻せる確率は2割ほどといわれています。
メラノサイトの休止やチロシンの不足が原因であれば戻る可能性はありますが、これらは白髪の原因の約2割で、8割はメラノサイト自体が消失して白髪になります。
そのため、メラノサイトが消失してしまう前の対策が大事です。

一部の治療方法では、毛根の奥の奥にある幹細胞にアプローチして白髪を黒くすることが試みられています。
しかし、この治療法は時間と費用がかかる上、毛髪サイクルの変化に伴い、継続的な治療が必要となるため、現時点では非常に効率の悪い治療なのです。

したがって、白髪を完全に黒髪に戻すことは難しいかもしれませんが、白髪を抑えるための対策を行うことは可能です。
適切なケアや健康的な生活習慣を取り入れることで、白髪の進行を遅らせたり、目立たなくしたりする効果が期待されます。

まとめ

白髪は加齢の影響もあり、誰もが避けては通れない老化現象の一つです。一本でも見つけると気になるものですが、白髪を気にすること自体ストレスになってしまいます。
できる限り白髪を増やさないために規則正しい生活やバランスの良い食事を心がけ、頭皮・毛髪の健康にも気を配りましょう。
生えてしまった白髪は抜くのではなく、染めたり切ったりしてください。髪や肌に優しいヘアカラーもあるので、美容師に相談してみるといいでしょう。